なぜ、AutoCAD互換のIntelliCADが生まれたのか?
| 年代 | IntelliCAD本体 | CADデータベース |
|---|---|---|
| 1990
-1996 |
■1990年代半ば
Softdesk社(A/E/Cマーケットの米国最大手のAutoCADアプリケーションメーカー)内の開発チームが、極秘プロジェクトでコードネーム“Phoenix”としてIntelliCADの開発がスタートする。AutoCADに置き換わるCADとして、当初から互換CADを目標に開発が進められる。 |
■1990年~
MarComp社がDWGファイルへ直接アクセスできるツールキット(AUTODIRECT)を開発。Autodesk社の登録ディベロッパーとして、このツールキットのライセンスをはじめる。このツールキットは、暫時改良されDWGファイルの2.5から14までをサポートする。 |
| 1997 | ■1997年3月
Autodesk社がSoftdesk社を9千万ドルで買収する。これに、アメリカ連邦取引委員会から独占禁止法に抵触の恐れがあるとしてクレームがつく。話し合いの結果、Softdesk社が所有する”Phoenix”の資産および技術者を2007年まで買収または技術者の取り込みはしないという条件で和解をする(FTCレポート※1)。この後、”Phoenix”の技術者は、Boomerang Technology社を設立し、”Phoenix”プロジェクトを進める。そして、この直後Visio社がBoomerang Technology社を670万ドルで買収する。 ■1997年11月 Visio社はIntelliCADの最初の評価版をリリースする。 |
■1997年
オートデスク社は、自社の利益にならないとしてMarComp社をAutodesk Developer Networkから除名する。 |
| 1998 | ■1998年2月
Visio社は、IntelliCAD98として、製品版の販売を開始する。IntelliCAD98は、2バイトコードに問題があり、Visioジャパンでは、販売を見送る。 ■1998年8月 Autodesk社は、Visio社の攻勢に対し、Visio社の本丸である2次元ビジネスグラフィックツール分野への対抗製品「Actrix」の開発を発表する。 |
■1998年1月
Visio社がMarComp社を買収。Visio社は、当時2次元ビジネスグラフィックツール分野で急成長をとげ、その商品のカテゴリーからCAD市場でもAutodesk社と競合する関係になりつつあった。 ■1998年2月 Visio社は、Autodesk社と戦うため、CADデータベースのオープン化戦略をとる。まず、非営利団体のOpenDWG Allianceを設立し、買収したMarComp社の資産を無償で提供する。そして、世界中のCAD/CAM関連企業に参加を呼びかける。 |
| 1999
-2000 |
■1999年6月
Visio社は、IntelliCADをオープンソースにするため、その運営団体として非営利組織のIntelliCAD Technology Consortium(ITC)を設立。この団体にIntelliCADの資産を無償で提供する。 ■1999年9月 Mircosoft社がVisio社を約13億ドルで買収。Visio社は、CADから完全撤退。一方、Visio社の2次元ビジネスグラフィックツールがMicrosoftブランドとなることから、Autodesk社はActrixの発売を取りやめる。ここに、Autodesk社とVisio社の戦いが完全に終結する。 ■2000年 ITCがIntelliCAD V2(IntelliCAD2000)リリース |
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| 2001
-2005 |
■2001年
ITCがIntelliCAD V3リリース ■2003年 ITCがIntelliCAD V4リリース ■2005年2月 IntelliCAD V6.0リリース。 AutoCAD2004フォーマットに対応する。 |
■2002年
OpenDWG Allianceは、AutoCAD2004フォーマットに対応した新ツールキットのDWGDirectを発表。 ■2003年 OpenDWG Allianceは、Open Design Allianceに組織名を変更する。 |
| 2006
-現在 |
■2006月5月
IntelliCAD V6.2リリース。 ■2007月3月 IntelliCAD V6.3リリース。AutoCAD2007フォーマットに対応する。 ■2007月8月 IntelliCAD V6.4リリース。 |
■2006年
現在、世界570社以上のCAD/CAM関連の企業がOpen Design Allianceの会員になっている。 |
| 総括 | 過去10年間の歴史を振り返ると、AutoCAD LTによる裾野の拡大とアプリケーションメーカーの買収により、Autodesk社がCAD市場で売り上げ、時価総額ともNO.1となる。このAutodesk社の最大の正念場が、このVisio社との戦いであったように思われる。
当時、Autodesk社は設立15年程度で、売り上げも4-5億ドル。一方、Visio社は、1990年初頭の設立の急成長ベンチャー企業で、売上げはAutodesk社の半分以下。しかし、ユーザー数ではVisioがAutoCADをすでに超えており、時価総額は、Autodesk社に勝るとも劣らない状況。 結果的にMicrosoft社のVisio買収が、手ごわい競争相手を消滅させることになり、2次元CAD市場でAutodesk社の独り勝ち状況を生むことになった。その後、オープンソースになったとはいえ、IntelliCADは大きなパトロンを失い、開発計画も大幅な縮小をしいられることになる。その結果、欧米では、”IntelliCADは、過去に話題となった終わった商品”というイメージが定着してしまう。 しかし、死んだと世間から思われていたIntelliCADは、静かにバージョンアップを重ね、着実に実力をつけ、出荷本数も毎年増加を続ける。1,2年前までは全く無視していたAutodesk社も、最近、IntelliCADに対して警戒を強めるようになってきた。IntelliCADの完全復活、すなわちAutoCADの手ごわい競争相手となった時、ユーザが大きな恩恵を受けることができる。 |
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※1 Federal Trade Commission レポート
IntelliJAPANについては 会社概要 を参照。
